Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

キャバクラと神社とホッピーと

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橘がキャバクラに行く時は大体仕事がうまく行った時か、それとも逆にうまくいかなくて、憂さ晴らししたい時だ。ギラギラとした店内、薄いウィスキーで割った水割り、タバコの匂い、安いつまみと女の話、その全てが橘を嫌なことから忘れさせてくれる、唯一の気晴らしだった。

 


30を超えるとあの安アパートに一人で帰るのが億劫になってくる。1人は好きだが仕事から帰りそのまま寝ると、仕事からのスイッチが切れないでいて、困っていた。同僚との飲みがあればそれは助かるのだが、皆、妻子持ちでこちらから誘うのも気がひける。

 


安いサウナで寝泊まりする事が増えた。

ちゃんと家はあるのに、他人の寝息があるほうが落ち着いて寝れるなんて不憫な話だ.

 


赤提灯、ホッピー、ほっけ、そして安いサウナ、プレイボーイ

 


歳くったなと嫌になる時もあれば、40まで生きたんだ、そりゃ歳もとるさと、どこか諦めのような、吹っ切れた感じもする。

 


だれが悪いのか?だれも悪くないさと、呟いて安い焼酎を飲み干す。だらしなくでっぱった腹をさすりながら、新宿歌舞伎町の、街を歩く。

 


赤提灯に紛れて、緑や紫の下品な看板が目につく。キャバクラに自然と足が向かいワンセット7000円を払い、若い女性との会話を楽しむ。指名はしない、一度行った店には二度と行かない、下ネタを言わない。以上が橘が自分に課したルールだ。指名をしないのは長くズルズルと関係を築くのを避けるためだ。一度、熱を入れた女に多額の金をせびられて懲りたため、2回目の来店は避けるようにしている。下ネタを言わないのはなんとなく、おやじに思われたくないという、自分の見栄かもしれないが、もう少し時間が経つと性格も変わるかもしれない。

 


キャバクラに行った後、必ず神社に行く。汚れた身体を清めるためだ。新宿や、池袋にも意外と神社がある。100円玉を投げて、神様に懺悔する。神様、すみません、今日も店に行ってしまいました。そのかわり、明日は頑張って働きます。これでチャラ。そのおかげで、都心の主要な神社の場所は頭に入ってしまっている。

 


  ごめんなさいよ、おっかさん

  明日はちゃんとやるからよー、とくらぁ

 


下手な歌を歌いながら青梅街道を歩く、ふらふらと。興が乗れば新宿から中野までどこまでもどこまでも練り歩く。