Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

2019-01-01から1年間の記事一覧

例えば明日死ぬとして

死について考える時、その時にだけが唯一全ての価値観を上まわるのです。病気も資産も株価の下落も自分が死ぬことに比べれば取るに足らないからに他なりません。たとえ仕事で失敗した、恥をかいたとしても死ぬことに比べれば大した問題ではないでしょう。人…

空想の人に恋するのは悪だろうか

それに対する批判の受け身も取れないし、かといって否定される理由もないように思える。思えば我々は空想に恋する動物ではないかと思う。恋した時にその人なりを本当に知っているか、恋とは幻想だと思う。であるなら二次創作であったり、馬や、戦艦、それら…

ナチュラルに恋して

新宿の本屋でドヤガオで闊歩している馬鹿なカップルがいる、洋書や哲学書やら高そうな本を買っていて、たぶんお洒落な棚に飾るためだろう、と決めつけた。決めつけるのがおれのよくない癖だ。よくないと思いつつその癖が抜け切れない。一人、高そうな書店で…

今日、最後のオフィスで

段ボールから様々なものが出てきた。田中は手を止めてそれを見る、写真、研修の資料、仕様書、など。それらはもう必要ないものだ、今日、必要なくなるものたちだ。最後の日にパソコンを片付ける、明日からはタクシードライバーだ。コンパイル、デバック、エ…

心に潜む修羅と

確実に思う、自分の中には修羅が潜んでいると。時々、自分自身を抑えきれない、衝動にかられ、夜な夜な看板を蹴る、ゴミ箱を踏みつける。自分を抑えきれない。いつかとんでもないことをするのでは、と思うこともある。 心が満たされない、夜眠れない、なにも…

ハイネケンとギター

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが僕の時代にもたらせたものは、色々ありすぎてここには書ききれない。友人と行った代々木公園のゲリラライブ、夜のドライブで流したゲットアップルーシー、初めてギターを触った時に見よう見真似でやったカッティング、そして、…

狂人に憧れて

長いこと放浪していると、人が恋しくなり、地方の大衆酒場を探してしまう。金がないから贅沢はできない。ホッピーか黒ラベルとユッケか刺身でセンベロ出来ればばんばいざいだ。地方の話を聞く、政治や噂の類を。身内の取るに足らない話をふむふむと聞く。突…

さまよえる勘定系クラウド

大手町の朝は忙しかった。電話が鳴り止まず、部長や幹部は青い顔をして、まるで宿題を忘れた小学生のように戦々恐々としている。 (なにかが起きたな) ネットニュースやらSNS漁っても特段、関係ありそうなトピックが見当たらなかったので金融庁からのおとが…

想いは胞子となって

フジファブリックの志村正彦が死んで10年になり、それまで彼が生み出した楽曲がテレビでフェスでiPhoneで聴くことができるのは奇跡でしかない。フロントマンが居なくなるとバンドというのは消えてしまうのだと思っていたが、フジファブリックは消えなかっ…

グリフィス・ダブルナイン

武蔵小杉は6つのタワーマンションに囲まれた駅だ。六芒星を形作る位置で建てられたそれは、グリフィス、ラオーン、シヴァ、メルカリオール、バハムート、ラムゥという神話に登場する召喚獣の名前が、各一階のプレートに刻まれている。グリフィス09はその名…

闇を歩く

売れないミュージャンがくだをまく、新宿の焼き鳥屋で、黒ホッピーを流し込む。政治、シーン、レーベルが気にくわない。タトゥー掘ることの何が悪いのかと息巻いた。 売春婦、ホスト、外人観光客、浮浪者がそれこそごった煮のように新宿歌舞伎町を闊歩してい…

あの瞬間を生きた私達は

結婚してからあの時の映像は見ないようにしていた。それは無意識であったり意識してたり、その中間で、観れないと言えば嘘になるし、観れると堂々と言う勇気もない。32になって旦那との会話も徐々に少なくなってきます。 二十代のあの頃にMCの男性に恋をす…

猿と猪

「生も死も表裏一体だ、どちらが欠けても成立しない光と陰のようなものだ」 「僕は死ぬのが怖いです、死を痛みをどう避けていけばいいかを考えてしまう。時々、夜ねれない時に死ぬ時の風景を考えることがあります。だんだんと意識が遠のいて視界がぼやけるの…

日向坂で会えなくて

渡邉美穂が柿崎芽実ことがどうしても好きになれなかったのは彼女の笑顔にどうも影があるからに他らならない。顔が整っていてフランス人形のように可愛く微笑む彼女は、可憐という言葉がふさわしい。英語を喋るその唇、あざとい目線、整った耳元、そのすべて…

やなせたかゆきの死に寄せて

伝説のパンクロックバンド、ザ・ヘッズのリードボーカルであったやなせたかゆきが、2019年4月1日に亡くなった。享年54才であった。◯◯◯オーケストラのプロデューサーとしても知られ、日本のパンク界に多大なる影響を与えた。俳優の大井康平、映画監督の吉田洋…

月と太陽

「野宿?」 聞きなれない単語が飛び出したので、大吾は思わず聞き返した。 「野宿ってあの?道とか駅とかで寝るやつ?女の子が?」 ええ、と少し恥ずかしいのだろう気まずい様子で頷いたその子はリョウコと名乗った。長いこと美容院に行ってないのだろう、茶…

恋のバトン

例えば余命5年だとして、自分がやりたいことをやっていいとして旅行なり、娯楽なりそういう浮かれたことがまるで思いつかない、そういう人間がいたとしたらそれはたぶん私です。25年間、タクシーのドライバーをやっておりました。雨の降る日も雪のしんし…

惚れたり惚れられたり

「死んでよ!私のために、ここではやく首を吊って」 彼女の顔はまるで般若のように恐ろしく醜く変貌した。やれやれ、こうなると長くなるんだ。この人は。タワーマンションの27階から夜景を眺める、もう見飽きたいつもの光景だ。 「どうせ私のことなんてどう…

さよならヒーロー

日曜日のコストコは平凡な家族が平凡な幸せを噛みしめるように確かめるように笑顔を作っていた。その家族それぞれが平均的な幸せと平均的な不幸せを持っているのだろう。チーズピザとコークとポテトを食べる。冷たくて平凡な味がしたがそれはなんだか正しい…

月とベンチ

毎晩、1合の酒とイカをあぶり、ささやかな飯を食べて、寝る、そんな生活をしております。1匹の老いた猫を飼っております。妻はおりません。10年も前に、若い男と逃げてそれっきりでございます。息子もおりますが、今はどうしているかとんとわかりません…

自意識

そういえば、昔、女の子と遊びに行く時に無理して美術館へ行ったり、フランス映画を見たような気がする。学生が大人の真似事をするのだから、今思えば微笑ましいことだが、当時はデートの後にしまった!と赤面してしまうのだった。ああ、なぜ素直に動物園や…

社会の奴隷

人は何かに支配されなければ生きていけない。社会、会社、恋人、家族、宗教、アート、何故ならば、自分で判断することができないからだ。自分が思ってること、発言、思考それらが正しいと誰が言えるだろう、完全オリジナルというものは存在しない。これは救…

最後の誓い

「時々思うんだ、肉体と精神を極限まで向上し、圧倒的な強さで弱者をねじ伏せたとき、達成感とともに虚しさが沸き起こってくる。一体なんのためにこんなことをしているのか?と。勝負の結果が見えている戦いほど虚しいものはない。いや、それはもう勝負です…

本当のエンドユーザーは銀行ではなく私たち

金融システムは音楽や映画などのエンターテインメントとは異なり存在して当たり前のお金を管理するシステムです。その存在して当たり前のお金を安全に安心して使うために私たちは存在します。安心して安全に使えるのは当然だろうと思われがちですがお金とい…

子供に導かれるままに

あらゆるものは、個々に存在するのではなく、つながっていること。知識は別々に分けるものではなく、一体であること。人もまた、よろこばしいことも、そうでないことも一緒に存在し、そのまま、すべてが自分なのだということ。

機械人形は笑わない

ヘイグス粒子が閾値を超えると周りの視界はその認知率を著しく下げる。 (エナが濃い...) 途端に息ができなくなる。機械人形でないと肺呼吸に苦労する。整体素子の59パーセント以上を義体化すれば水の中でも、人口の肺が水から酸素を作り出し呼吸は不要にな…

狐目の女

彼女が僕のうちから出てすでに一ヶ月が経ち、それでも世界は変わりなく日常を続けていた。株価は下がり、派遣切りが社会問題になり、札幌で大規模な火災があった。2018年12月の冬だ。彼女は狐の耳と尻尾を持つがそれ以外は普通の22歳でみかんも食べ…

続・羅生門

さて、老婆の袈裟をうばった男であるが、それから北へ北へと流れることになる。男の故郷への旅であった。男は、そこで死ぬつもりであった。 彼はどうでもよくなっていた。自暴自棄である。人生もこの世も全て。 思えば彼の人生は病と戦ばかりであった。人が…

闇を歩く

白い銀色の山が、容赦無く顔を身体を攻撃し、これでもかと、体温を奪って行く、真っ白な息が、漆黒の闇に、はあはあと浮かび上がっては消えて行く。深呼吸するとマイナス0度の空気がこれでもかと肺をいじめてくる。 ザクザクと歩こうとするが、新雪が歩行を…

宇宙ステーション・ワークスより

ここは地球からはるか何光年も離れた場所だ。宇宙ステーション「ワークス」は1000人の人間の居住空間として国連が建造したコロニーである。理化学研究所とネットステーション社(以下、ネ社)が共同開発し、日本の宇宙省が運営している。が、ここには現…