Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

2018-01-01から1年間の記事一覧

フィンテックは加速される

旧体制は破壊され、全てのビジネスモデル、ビジネススキームは再構築される。巨人はその大きさゆえに身動きが取れず、自ら破壊の道へたどるだろう。ちょうど巨大化し過ぎた恐竜が滅びたように。代わりに哺乳類になるのは異業種である、ベンチャーやスタート…

棋譜に恋して

将棋の駒に恋してると意識したのは小学六年生のころで、すでに初潮を迎えた知人やブラジャーをつけようとしている会話についてこれず、思うのは将棋のことばかり、飛車、角、桂馬それぞれに個性があり人生(駒野のバックボーン、とでも言うのか)を垣間見る…

ある殺人犯の告白

「刑事さん、あなたは人を殺したいと思ったことはありますか?いや、これはもしもの話です。実際にやるわけじゃない、恋人が奪われた時、教師に叱咤された時、バイトでムカつく客にケチつけられた時、何だっていいんです。人生でムカつく相手がいた時に殺意…

教育現場のリアル

人間は本来、自我というものは持ち合わせてない。環境の変化に合わせて考え方、生き方を変えていくのが人間というものです。であるから、周りの風潮に流されず自分を持つことなんて出来ないんです。例えばコーヒーという飲み物があります。日本人は好んで飲…

蛇の女

その女は村で3人の男と交わり、その交わった男達はすべからず死んでいった。黒髪の美しい女であった。が、奇妙な笑い方をする女であった。まるで悲痛の叫びを叫ぶように、引きつった笑いをした。私はその笑いが嫌いであった。 奇妙なことだが(そう、この話…

サラリーマン作家

私が小説を書こうと思ったのは2018年の、冬のことである。新宿のゴールデン街で、悪い酒を飲んだ日の帰り道であった。その頃は他人と口をきくのがひどく億劫になり、一人でああでもないこうでもないと物思いにふけることが多くなってきた。家内は子育て…

言葉のセラピー

いくつもの言葉が頭に浮かんでは消えた 自分の心をディスプレイに投影 しようとするが、上手くはいかない 消えたい 自傷的な言葉たちをネットワークの渦に放り込んだ 言葉のセラピー 灰色の言葉達を集めては破って そして消していった 赤いマークの蛍光色ペ…

連れ添った妻と別れて

「思えば家内との生活が私にとって全てでした。彼女を失った今、わたしには生きるための意義というものがうまく見つけることができません。昔、2人で歩いたけやき道、一緒に食べた柏もちが美味しい甘味処、手を繋いで見た桜、それらが思い出と共に蘇ってき…

堕落した巨大組織

独立機関法人※※は1903年に組閣され、2000年に解体された組織である。中小企業の独立と発展の手助けを目的に作られたが、形骸化が進み、最後は機能しなくなった。代表のN氏による不適切な融資が発覚され、それがマスコミに報道されると、世論は一気に解体する…

ダンボールで寝る浮浪者が見る夢は

青年実業家が暖かいコートに身を包み、高級外車に乗っているとき、浮浪者は寒さに震え、ダンボールで寝てた。青年実業家は浮浪者を見て「なんて辛そうな生活をしているのだろう、金が無ければ家に住むこともできない。もっと金を稼がなければ」と思った。浮…

ドリンク・オア・ダイ

「殺してくれないか、頼むから」 酔うと大抵そのようなことを口にする、悪い癖だ。 いつからか消えてしまいたいと思うことが多くなってきた。何もかもがどうでも、よくなっているしまう。 昭和の右寄りな小説を読みすぎたのか、 それとも戦争映画の見過ぎか…

日本の未来について

私は、身もふたもないことを言って申し訳ないのだが、日本の未来にはあまり興味がない。経済の成長は望めないし、少子高齢化の歯止めは止まらない。シャープは台湾の企業に買収され、東京都の最低賃金は時給額1000円を割っている。日本の未来がどうなるかは…

システムとテーゼ

情報庁は2099年に総務省から独立した組織である。国内のネットワークを全て監視できる権限を持つ唯一の組織であり、その情報は全て公安に提出されることが義務付けられていた、テロ組織や反社会勢力の監視、というのは表向きの国民への説明であり実際は日本…

嘘と方便

「だいたい、和尚が小説を書かなきゃいけない理由なんてないんです。でも書かなきゃいけない、書くことになっている。これも矛盾です。」 「はあ...」 わかったような、わからないような曖昧な返事をする。 「思うのはこれだけAIに従事しててシステムの核心…

バグが生み出した世界

恋愛は脳が生み出したバグであるなら、セックスによって生まれた我々人類そのものがバグの産物であり、バグにより世界は生まれたと言える。 にゃるらは深夜によくTwitter を起動する、コミュニケーションタイムと称するその時間は、フォロワー達の唯一、と言…

僕たちのデジタル恋愛事情は

「私のことはビーンズと呼んで欲しいの」 エルフのその人は初対面でそう答えた。ギルドに入ったばかりのグループチャットでの話だ。 一目見て素敵だなと思わせるなにかがそのひとにはあった。不思議なことにディスプレイ越しにも気品を漂わせる雰囲気が彼女…

光画部発足30周年によせて、愛を込めて

タワバ先輩とトサカ先輩が現在の光画部を作り、二期生のサンゴや浅野、キシダがそれを引き継いだ。1985年の話だ。学生運動が下火になり、バブル期にさしかかろうとしていた時代に生きた僕たちは、そういうムーブメントをや風潮を、どこか白けた目線で見てい…

紅生姜の串カツを食べましょう

「居酒屋来てまでゲームか、そんなに面白いか?」 お通しに手をつけずにアカネは熱心にスマートフォンと格闘している。最近では大衆居酒屋でも客がカウンターでスマートフォンと睨めっこしている、そんな光景にももう慣れた。いまさら店員とコミュニケーショ…

あるエンジニアの最期の挨拶

エンジニアが死ぬ時はいつでしょうか リストラされた時でしょうか 会社に多大なる迷惑をかけたときでしょうか 賞与を減らされたときでしょうか 私は、私は違うと思うのです エンジニアが死ぬ時は、それは——— 会社に居場所がなくなった時、それだと思うのです…

熊狩りのヤマシタさんについて

熊を追うハンターはむやみに自分の武勇伝を語らない。それはハントするということが本質的に孤独な行為であるからに他ならない。誰かに自慢したり、自分自身のスキルをひけらかすためでもなく、どこまでも自分自身のために狩をするのだ。私の先輩ハンターで…

悪魔の契約

カナダの電気技師は告白する、あれは人類にとって開けてはならないパンドラの箱だったのだと。 「私は上司に散々警告したのです。これは人類を破滅に導く、だから決してリリースしないでくれと。」 「その時、その上司はなんと?」 「オーケー、わかった。と…

暴力と笑い

切り裂くようなするどいツッコミが走る。言葉は長すぎず短すぎずそして的確だ。スカシ、のって、最後に落とす。客も気づかないほどの技のレパートリーがわずか何ミリ秒の間に使われる。押し付けがましくなくそれでいて大胆に。喋りながら客の反応もうかがう…

オードリーの若林が漫才について考えること

若林は一度だけ仕事から逃げたことがある。2008年の特番の収録中だった。春日もあの時のことは昨日のことのように覚えている。「まあ、そうなるだろうな」とインタビュアーには応えていた。それ程に多忙な時期だった。年に2日や3日しか休みがない、そ…

ハロー灰色の世界から

灰色の空 灰色の街 灰色の君 灰色の道、その道をあるく どこまでもどこまでも 月明かりだけが道しるべ 空まで伸びたエレベーターが見える コンクリートの上 火花が散った まるで私たちのようだねと笑う君 ひとつになるのよとバレイを踊る君 観客はぼくだけで…

キャバクラと神社とホッピーと

橘がキャバクラに行く時は大体仕事がうまく行った時か、それとも逆にうまくいかなくて、憂さ晴らししたい時だ。ギラギラとした店内、薄いウィスキーで割った水割り、タバコの匂い、安いつまみと女の話、その全てが橘を嫌なことから忘れさせてくれる、唯一の…

猿の笑い

その男の写真を見るとこちらが不安になってくる。とても奇妙な男であった。奇妙というのは、私の感想で、周りの連中は特段、特別な感情は持ち合わせなかったようである。見た目も清潔感があり、普通に職務をこなす、酒は多く飲むが、よく喋り、知人も多かっ…

オードリー

オードリー・J・ニードルはアメリカの西海岸で生まれた小説家だ。小さい頃は母親が作るパイケーキとジンジャーエールを好み、オールディーズを浴びるほど聞いた生粋のロックキッズだった。彼は古くからの文学を深く愛し、アーネスト・ヘミングウェイだとか…

還れ、全て虚無へ、獣となれ

ネズミと初めてあったときのことははっきりと覚えていない。たぶん、大学のコンパか何かで意気投合して、サントリーのビールを浴びるほど飲んだ僕たちは、海岸まで歩こうということになり、午前5時だというのに2キロほど歩いて、海岸までたどりついたのだっ…