Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

月とベンチ

毎晩、1合の酒とイカをあぶり、ささやかな飯を食べて、寝る、そんな生活をしております。1匹の老いた猫を飼っております。妻はおりません。10年も前に、若い男と逃げてそれっきりでございます。息子もおりますが、今はどうしているかとんとわかりません。知人もおらず、一人気ままな生活をしておりますが、幸せだとか不幸せだとか考えたことはございません。本当に取るに足らない人生を歩いておりました。時々、とてつもなく空しくなる夜もありますが(たいていは冬の日です)1人、近くの公園まで歩き、1時間ほど、ベンチで月を見たら、忘れてしまうほどの、のんきな性格であります。冬の夜の公園ほど寂しいものはありません。浮浪者がいるときもありますが、たいていは誰もおりません。

 

(あるB4ノートより)