Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

想いは胞子となって

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フジファブリック志村正彦が死んで10年になり、それまで彼が生み出した楽曲がテレビでフェスでiPhoneで聴くことができるのは奇跡でしかない。フロントマンが居なくなるとバンドというのは消えてしまうのだと思っていたが、フジファブリックは消えなかった。伝道師のように彼が見た聞いた体験したことを残されたメンバーは繋いでいって、まるで胞子のように日本中に散りばめられた。「若者のすべて」という楽曲はその胞子が大きな芽を作るように新しい命を作った。まるでその曲自体が生きているように大きく大きく育っていった。BankBandの桜井和寿たちがカバーという形でその命を繋いだ。曲というのはカバーすることで始めて新しい運命を辿るのかもしれない。人生の多感な時期に聞いた曲であるためだろうか、あの時の不安や悲しみとともに見たであろう光景や情緒をありありと思い浮かべた。もう聞かなくなってしまった、スーパーカーナンバーガール中村一義カヒミカリィTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTブランキージェットシティ等々それらが頭の片隅にまだいたことが驚きだ。ロックンロールは鳴り止むと思っていたが心の何処か片隅にいるのだと。志村は死んだが楽曲は生きていて、10年より大きく成長していった。まるで1つの人格のように。思いは繋がる。ひょっとしたら人の死は終わりではなく、思いや感情とは繋いでいくものなのかもしれない。それこそがあるいは人の目的なのかもしれない。あなたが、恋することも生きることも次の世代に繋ぐため、子孫につなぐための布石であったと。


僕らは一人じゃないなんて、とてもじゃないけど言えないが、しかし、同じ景色を見ていると確信する瞬間はある。それだけは自信を持って言える。「若者のすべて」を2019年に聴いた時にふとそう思うのだった。