Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

サイコプラス(小説版)

04_レベルアップ

 

朝のたぬき山公園に来るのは久しぶりだ。なにせ散歩は深夜にするものと自分で決めているからだ。ゲーム、SNS、それらは深夜でやるからこそ楽しい。光が強くなればなるほど、また闇も強くなる。昼間のつまらない学校から強くなれば、どんどん夜更かしが楽しくなる。今、流行しているSNSはオンラインゲームとチャットをミックスしたようなものだ。アバターに扮して仮想空間「アナザー・アース」でおしゃべりする。国が監視しているので過激な課金も抑止されている。監視された空間は大人たちにとって嫌悪されるだけのものだけど(プライバシーという古い価値観もあった)オレたちの世代ではあまりそういうのを気にしない。むしろ誰かに監視されているからこそ安心してコミュニケーションが取れると言うものだ。悪意あるアカウントはすぐに「BAN」されるからだ。ここでの金の流れは全て管理されている。だれとだれが繋がりがあるとわかっている。恋愛事情もAIがマッチングされ「高度に最適化」された恋愛が悲劇を少なくし、人々の幸福度を上げたとされた。その代わりに恋愛は娯楽でも文化でもなく、一つの契約とされる形式的なものとされた。ある科学者は世の男性が恋愛をしなくなり、挑戦やチャレンジを避けるようになったと学会で発表した。事実、アメリカの軍隊死亡者は年々減少傾向にあり、代わりにロボット兵器の割合が増えてきている。SNSを伴わない恋愛を避ける若者も増えてきている。非接触型コミュニケーションと呼ばれる生活が増え、対人コミュニケーションを不得意とする人は日本人口8400万人の実に10%、840万人もいるとされている。ネットワークに経済圏を移管して240年、全てのひとと金の流れは政府によってコントロールされ、