Kaz Works

テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味があるらしい

闇を歩く

売れないミュージャンがくだをまく、新宿の焼き鳥屋で、黒ホッピーを流し込む。政治、シーン、レーベルが気にくわない。タトゥー掘ることの何が悪いのかと息巻いた。 売春婦、ホスト、外人観光客、浮浪者がそれこそごった煮のように新宿歌舞伎町を闊歩してい…

あの瞬間を生きた私達は

結婚してからあの時の映像は見ないようにしていた。それは無意識であったり意識してたり、その中間で、観れないと言えば嘘になるし、観れると堂々と言う勇気もない。32になって旦那との会話も徐々に少なくなってきます。 二十代のあの頃にMCの男性に恋をす…

猿と猪

「生も死も表裏一体だ、どちらが欠けても成立しない光と陰のようなものだ」 「僕は死ぬのが怖いです、死を痛みをどう避けていけばいいかを考えてしまう。時々、夜ねれない時に死ぬ時の風景を考えることがあります。だんだんと意識が遠のいて視界がぼやけるの…

日向坂で会えなくて

渡邉美穂が柿崎芽実ことがどうしても好きになれなかったのは彼女の笑顔にどうも影があるからに他らならない。顔が整っていてフランス人形のように可愛く微笑む彼女は、可憐という言葉がふさわしい。英語を喋るその唇、あざとい目線、整った耳元、そのすべて…

やなせたかゆきの死に寄せて

伝説のパンクロックバンド、ザ・ヘッズのリードボーカルであったやなせたかゆきが、2019年4月1日に亡くなった。享年54才であった。◯◯◯オーケストラのプロデューサーとしても知られ、日本のパンク界に多大なる影響を与えた。俳優の大井康平、映画監督の吉田洋…

月と太陽

「野宿?」 聞きなれない単語が飛び出したので、大吾は思わず聞き返した。 「野宿ってあの?道とか駅とかで寝るやつ?女の子が?」 ええ、と少し恥ずかしいのだろう気まずい様子で頷いたその子はリョウコと名乗った。長いこと美容院に行ってないのだろう、茶…

恋のバトン

例えば余命5年だとして、自分がやりたいことをやっていいとして旅行なり、娯楽なりそういう浮かれたことがまるで思いつかない、そういう人間がいたとしたらそれはたぶん私です。25年間、タクシーのドライバーをやっておりました。雨の降る日も雪のしんし…

惚れたり惚れられたり

「死んでよ!私のために、ここではやく首を吊って」 彼女の顔はまるで般若のように恐ろしく醜く変貌した。やれやれ、こうなると長くなるんだ。この人は。タワーマンションの27階から夜景を眺める、もう見飽きたいつもの光景だ。 「どうせ私のことなんてどう…

さよならヒーロー

日曜日のコストコは平凡な家族が平凡な幸せを噛みしめるように確かめるように笑顔を作っていた。その家族それぞれが平均的な幸せと平均的な不幸せを持っているのだろう。チーズピザとコークとポテトを食べる。冷たくて平凡な味がしたがそれはなんだか正しい…

月とベンチ

毎晩、1合の酒とイカをあぶり、ささやかな飯を食べて、寝る、そんな生活をしております。1匹の老いた猫を飼っております。妻はおりません。10年も前に、若い男と逃げてそれっきりでございます。息子もおりますが、今はどうしているかとんとわかりません…

自意識

そういえば、昔、女の子と遊びに行く時に無理して美術館へ行ったり、フランス映画を見たような気がする。学生が大人の真似事をするのだから、今思えば微笑ましいことだが、当時はデートの後にしまった!と赤面してしまうのだった。ああ、なぜ素直に動物園や…

社会の奴隷

人は何かに支配されなければ生きていけない。社会、会社、恋人、家族、宗教、アート、何故ならば、自分で判断することができないからだ。自分が思ってること、発言、思考それらが正しいと誰が言えるだろう、完全オリジナルというものは存在しない。これは救…

最後の誓い

「時々思うんだ、肉体と精神を極限まで向上し、圧倒的な強さで弱者をねじ伏せたとき、達成感とともに虚しさが沸き起こってくる。一体なんのためにこんなことをしているのか?と。勝負の結果が見えている戦いほど虚しいものはない。いや、それはもう勝負です…

本当のエンドユーザーは銀行ではなく私たち

金融システムは音楽や映画などのエンターテインメントとは異なり存在して当たり前のお金を管理するシステムです。その存在して当たり前のお金を安全に安心して使うために私たちは存在します。安心して安全に使えるのは当然だろうと思われがちですがお金とい…

子供に導かれるままに

あらゆるものは、個々に存在するのではなく、つながっていること。知識は別々に分けるものではなく、一体であること。人もまた、よろこばしいことも、そうでないことも一緒に存在し、そのまま、すべてが自分なのだということ。

機械人形は笑わない

ヘイグス粒子が閾値を超えると周りの視界はその認知率を著しく下げる。 (エナが濃い...) 途端に息ができなくなる。機械人形でないと肺呼吸に苦労する。整体素子の59パーセント以上を義体化すれば水の中でも、人口の肺が水から酸素を作り出し呼吸は不要にな…

狐目の女

彼女が僕のうちから出てすでに一ヶ月が経ち、それでも世界は変わりなく日常を続けていた。株価は下がり、派遣切りが社会問題になり、札幌で大規模な火災があった。2018年12月の冬だ。彼女は狐の耳と尻尾を持つがそれ以外は普通の22歳でみかんも食べ…

続・羅生門

さて、老婆の袈裟をうばった男であるが、それから北へ北へと流れることになる。男の故郷への旅であった。男は、そこで死ぬつもりであった。 彼はどうでもよくなっていた。自暴自棄である。人生もこの世も全て。 思えば彼の人生は病と戦ばかりであった。人が…

闇を歩く

白い銀色の山が、容赦無く顔を身体を攻撃し、これでもかと、体温を奪って行く、真っ白な息が、漆黒の闇に、はあはあと浮かび上がっては消えて行く。深呼吸するとマイナス0度の空気がこれでもかと肺をいじめてくる。 ザクザクと歩こうとするが、新雪が歩行を…

宇宙ステーション・ワークスより

ここは地球からはるか何光年も離れた場所だ。宇宙ステーション「ワークス」は1000人の人間の居住空間として国連が建造したコロニーである。理化学研究所とネットステーション社(以下、ネ社)が共同開発し、日本の宇宙省が運営している。が、ここには現…

死について僕たちが考えなければならないこと

この記事で取り扱うこと Cはすでに死んでいる。生きているとは「望むことができること、昨日の自分と今の自分が一緒であるということ。」 脳のアップデートが可能で、別の体に能を移植することができれば それは なぜ死ぬことが悪なのか? 望むことができな…

それは脆く弱い基盤の上を

この世から消えるものは全て美しい、と始まる小説はなんだったかもう忘れてしまった。しかし、その言葉に表現するように、この世から消えようとするものは美しい。民族の繁栄より国家の滅亡を、大企業の東証一部上場より、倒産の時の社長の会見を、結婚より…

取るに足らぬ、つまらぬ人生

恥の多い人生を歩いてきました。思えば人の顔色ばかり伺って、言いたいことも、やりたいことも言えない、そんな平凡な人生を送ってきたような気がします。生まれは京都で、育ちは埼玉、取るに足らぬどこにでもある経歴で、ささやかな一戸建てと妻と一匹の犬…

フィンテックは加速される

旧体制は破壊され、全てのビジネスモデル、ビジネススキームは再構築される。巨人はその大きさゆえに身動きが取れず、自ら破壊の道へたどるだろう。ちょうど巨大化し過ぎた恐竜が滅びたように。代わりに哺乳類になるのは異業種である、ベンチャーやスタート…

棋譜に恋して

将棋の駒に恋してると意識したのは小学六年生のころで、すでに初潮を迎えた知人やブラジャーをつけようとしている会話についてこれず、思うのは将棋のことばかり、飛車、角、桂馬それぞれに個性があり人生(駒野のバックボーン、とでも言うのか)を垣間見る…

ある殺人犯の告白

「刑事さん、あなたは人を殺したいと思ったことはありますか?いや、これはもしもの話です。実際にやるわけじゃない、恋人が奪われた時、教師に叱咤された時、バイトでムカつく客にケチつけられた時、何だっていいんです。人生でムカつく相手がいた時に殺意…

教育現場のリアル

人間は本来、自我というものは持ち合わせてない。環境の変化に合わせて考え方、生き方を変えていくのが人間というものです。であるから、周りの風潮に流されず自分を持つことなんて出来ないんです。例えばコーヒーという飲み物があります。日本人は好んで飲…

蛇の女

その女は村で3人の男と交わり、その交わった男達はすべからず死んでいった。黒髪の美しい女であった。が、奇妙な笑い方をする女であった。まるで悲痛の叫びを叫ぶように、引きつった笑いをした。私はその笑いが嫌いであった。 奇妙なことだが(そう、この話…

サラリーマン作家

私が小説を書こうと思ったのは2018年の、冬のことである。新宿のゴールデン街で、悪い酒を飲んだ日の帰り道であった。その頃は他人と口をきくのがひどく億劫になり、一人でああでもないこうでもないと物思いにふけることが多くなってきた。家内は子育て…

言葉のセラピー

いくつもの言葉が頭に浮かんでは消えた 自分の心をディスプレイに投影 しようとするが、上手くはいかない 消えたい 自傷的な言葉たちをネットワークの渦に放り込んだ 言葉のセラピー 灰色の言葉達を集めては破って そして消していった 赤いマークの蛍光色ペ…